働き方

介護職の給料が安すぎるのはなぜ?手取り30万を達成する6ステップを紹介

当メディアにアクセスしたということは、次のような疑問を持っているようですね。

  • 「介護職の給料が安すぎるのはなぜ?」
  • 「どうすれば給料が上がるの?」

本記事では、介護職の給料が安すぎると言われる理由と給料アップの方法を紹介します。

給料アップの方法については、実際に介護職として毎月手取り30万以上稼いでいる私の経験をもとに解説します。

介護職の給料事情を理解した上で、効果的に給料アップを図りたい方は、ぜひ参考にしてください。

介護職の給料が安すぎると言われる理由

介護職の給料が安すぎると言われる理由は、以下の5つ。

  • 介護保険制度に依存している
  • 運営元の経営格差が大きい
  • 給料が低くてもやる人がいる
  • 正社員の割合が低い
  • 誰でもできる仕事だと思われている
shima
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まずは業界の仕組みを理解しておきましょう。

介護保険制度に依存している

介護職の給料は、介護保険制度によって定められた「介護報酬」が主な財源です。介護報酬は、介護保険サービスごとに決められた単位により金額が設定されるため、介護事業所が頑張れば簡単に利益を上げられる仕組みではありません。

そのため、介護保険制度に依存した現在の仕組みでは、介護職の給料を上げるのは難しいのが実情。

介護職の給料を上げるためには、介護保険制度に依存した介護報酬の仕組みからの脱却や新たな財源の確保、収益を生み出す方法などが求められるでしょう。

運営元の経営格差が大きい

介護事業所は、大きな会社が運営しているものもあれば、小さな個人経営のところもあります。そのため、経営状況に大きな差があります。

大きな会社であれば、多くの利用者を集めたり、効率的な運営をしたりして利益を上げやすく、小規模な事業所では経営が厳しくなりやすい傾向です。まぁあくまで傾向ですが。

私が以前勤めた職場は、大手保険会社のグループ会社で財源があるためか、給料の近辺の介護施設より高めでした(年収450〜500万くらい)

詳しくは、以下の記事で解説しているので参考にしてください。

介護士 転職体験談
【転職体験談】地方老舗法人から大手介護企業へ転職して年収100万アップ!今回は、当メディアの運営者である私shimaが、かつて体験した転職の内容をご紹介します。 本記事を読むメリットは以下の通りです。...

給料が低くてもやる人がいる

介護の仕事は、資格がなく未経験でも始められるため、給料が低くてもとりあえずやる日が一定数います。人手不足と言われてはいるものの、サービスを提供できるギリギリの人員が集まっているのが現状です。

給料が低く誰も人が集まらない状況になれば、経営者も給料を上げざるを得ないですし、国も補助金等の金額を増やすしかなくなります。

また、奉仕の心が強い介護職は「お金よりもやりがいを優先すべき」みたいな風潮があるのも、給料が上がりにくい要因と言えるでしょう。

正社員の割合が低い

介護業界では、時給制で働くパートや派遣職員などの雇用形態で働く人が多くいるため、業界の平均給与を下げています。

厚生労働省の「介護労働の現状と介護雇用管理改善等計画について」によると、介護職の雇用形態別の割合は、以下のとおりです。

雇用形態 割合(施設等) 割合(訪問介護)
正規雇用 60.2% 30.0%
非正規雇用 39.8% 70.0%

訪問介護の場合、およそ7割がパートや派遣などの非正規雇用です。

非正規だと、時給はよくても1,500円ほど。私が働く職場のパートさんは、時給1,000円で働いています(介護福祉士資格ありで超仕事デキるベテランなのに安すぎる)

shima
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私の場合は時給に換算すると2,000〜2,500円になります。

誰でもできる仕事だと思われている

介護の仕事は、資格なし未経験でも始められるため「誰でもできる仕事」と思われがちです。たしかに、誰でも始められるのは事実です。

しかし、実際には高齢者への身体介助や体調管理、認知症ケアなど、専門的な知識やスキルが必要なため、続けることは難しいと言えます。

マイナスイメージが先行し、社会的な評価が低いことにより、給料が上がっていない現状もあるでしょう。

介護は人の命や生活に関わる仕事で、多くの人から必要とされています。そのため、給料は上がるべきですが「底辺職」と揶揄され、給料も上がっていないのが悲しい現実です。

介護職で手取り30万達成する6ステップ

介護職で手取り30万を達成する方法は、以下の6ステップです。

  1. 介護職として3年の実務経験を積む
  2. 介護福祉士の資格を取る
  3. 転職活動を始める
  4. さらに5年の実務経験を積む
  5. ケアマネ資格を取る
  6. 転職する

具体的な方法を見ていきましょう。

1.介護職として3年の実務経験を積む

介護職で手取り30万円を達成するためには、国家資格である「介護福祉士」の資格は必須。国家試験受験のために、介護職として3年以上の実務経験が必要です。

介護福祉士には、以下のような取得ルートもありますが、未経験から働き始める場合は、実務経験を積み資格を取るのが一般的。

出典:介護福祉士国家試験「受験資格(資格取得ルート図)」

介護福祉士を取得するまでは、手取り30万以下の可能性が高いですが、諦めずコツコツ継続し、まずは3年間の現場経験を積んでいきましょう。

2.介護福祉士の資格を取る

3年間の実務経験を積んだら、「介護福祉士」の資格を目指しましょう。介護福祉士は、介護職で唯一の国家資格で、給与アップに大きく反映します。

なぜなら、介護福祉士を取得すれば基本給が上がるだけでなく、資格手当もつき、資格のない方より数万円給料が高くなる可能性が期待できます。

また、介護福祉士の資格があることで転職がしやすくなり、よりいい条件の職場を見つけやすくなるでしょう。手取り30万以上を目指すなら、介護福祉士の資格は必須です。

3.転職活動を始める

介護福祉士の資格を取得したタイミングで、転職活動を始めましょう。ポイントは、転職をするのではなく「転職活動」であること。

おそらく資格取得後は、今の職場で数万円給料がアップします。私の場合は、基本給が1万円アップし、資格手当が1万円追加され、合計2万円上がりました。年収にすると20〜30万円ほどの増加。

決して悪くないですが、転職による給料アップの効果は計り知れません。介護福祉士であるあなたに対して、今の職場以上に給料を支払ってくれる会社があるか知るためにも、転職活動は非常に効果的です。

そのため、介護福祉士の資格取得後は、効果的な給料アップができるよう、常に転職市場にアンテナを張っておきましょう。

実際に転職によって、年収が100万近くアップした体験談を、以下の記事で紹介しているのでご覧ください。

介護士 転職体験
【転職体験談】東日本大震災を機に首都圏の千葉から地方都市広島へ移住今回は、当メディアの運営者である私shimaが、かつて体験した転職の内容をご紹介します。 本記事を読むメリットは以下の通りです。...

4.さらに5年の実務経験を積む

介護福祉士の資格を取得したら、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格取得を目指しましょう。ケアマネ資格の取得には、介護福祉士として、5年の実務経験が必要です。

私の時は、介護福祉士の資格がなくても、通算5年の実務経験でケアマネ資格を取得できたので、現在の制度は正直ツラいなとは思います。

長い道のりですが、手取り30万以上を効果的に達成するためには「ケアマネ資格」があったほうがいいと体感しているので、今回のステップに入れています。努力は報われるのでコツコツ頑張りましょう。

5.ケアマネ資格を取る

実務経験を3年積み介護福祉士を取得、さらに5年の実務経験を積んだら「ケアマネ試験」に挑戦しましょう。

ケアマネ試験の合格率は20%ほどと低く、私も2回目でようやく合格しました(1回目は医療分野で1点足りず無念の敗退でした)

さらに、ケアマネ資格を取るためには、ケアマネ試験に合格し資格取得のための研修を修了しなければいけません。費用も時間もかかるため大変ですが、「給料アップのため」と割り切って頑張りましょう。

2016年に研修を受講した私のときは、所定の研修場所に行き講義を受ける必要がありましたが、今はオンラインで対応しているため、以前よりは負担は少ないと思います。

参考:東京都福祉保健財団ケアマネジャー専用サイト

6.転職する

ケアマネ資格を取得したら、より給料の高い職場への転職を検討しましょう。

私の場合、当時の職場はケアマネ資格を取得しても給料に反映されなかったため、資格取得を評価してくれる職場へ転職しました。

具体的には、ケアマネ資格を持っているだけで、資格手当として1万円支給される職場でした。さらに、基本給にも反映されたため、転職により年収を100万円近く上げることに成功しました。

本気で給与アップを目指すなら「担当者が神対応!おすすめの介護転職エージェント3選」の記事内容を活かし転職をしてください。

あくまで個人的な見解ですが、「介護福祉士」と「ケアマネ」の資格を持っている介護職は、介護業界での転職に有利だと感じています。

資格自体の価値も高いですが、資格取得のために努力を継続できる向上心も評価されているのでしょう。

shima
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私は資格を取得後、実際にケアマネをしない期間が長かったですが、管理職への昇格や転職時の評価アップなど、資格が給料に影響する場面を多く経験しました。

給料がいい介護施設の見極め方

給料がいい介護施設の見極め方は、以下の3つです。

  • 求人内容を確認する
  • 企業の公式サイトでキャリア制度を確認する
  • 給与に関する話をして相手の反応をチェックする

求人内容を確認する

給料がいい介護施設を見つけるためには、まず求人内容をしっかり確認することが大切です。具体的には、以下3つのポイントをチェックします。

  • 基本給
  • 各種手当
  • 賞与

基本給が低くても手当が充実していれば、月収は高く年収も上がります。一方で、基本給が高くても手当や賞与が少なければ年収は低いでしょう。

そのため、上記3つの詳しい金額を確認し、月収や年収がどれくらいになるか事前に確認してください。以下の求人内容は、実際に私が転職した職場のものです。

※当時は、配偶者が働いておらず扶養している子も2人しました。

給与項目 金額
基本給 180,000円
処遇改善手当 50,000円
皆勤手当 6,000円
資格手当(介護福祉士) 10,000円
資格手当(ケアマネ) 10,000円
資格手当(社会福祉士) 5,000円
夜勤手当 5,000円/1回
家族手当(配偶者) 30,000円
家族手当(子) 10,000円/1人
住宅手当(世帯主の場合) 10,000円
賞与(前年実績) 2.0ヶ月

求人には、月に10時間程度の残業があることも記されており、夜勤を月4回した場合の月収例は「360,000円」ほどでした。年収にすると470万ほどです。

では実際にいくら貰っていたかというと、想定どおり毎月「350,000〜380,000円」ほどでした。

shima
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ちなみに、面接をした際、求人内容どおりの年収になるか担当者の方に聞きました。面接してくださったのは当時の施設長さんで、最低でもそれくらいは貰えると言われたので転職を決意しました。

企業の公式サイトでキャリア制度を確認する

手取り30万を達成するために転職で給料を上げることは大切ですが、転職後のキャリアアップも重要です。そのため、事前に企業の公式サイトで、キャリア制度を確認しましょう。

キャリア制度が整っている企業は、公式サイトにキャリアアップの事例が詳しく記載されています。たとえば、以下のとおりです。

  • 介護福祉士を取得すると年収400万円以上可能
  • 介護リーダーに就くことで基本給アップと役職手当でプラス3万円
  • 社内キャリア段位に合格することで介護職でも年収500万以上可能
  • 管理職やエリアマネージャーに就任すれば年収600万以上も可能
  • 本部で働く部長クラスまでキャリアアップすれば年収800万以上も可能

実際に大手介護企業の「SOMPOケア」や「べネッセスタイルケア」は、上記のような事例を掲載しています。

企業の公式サイトは、将来のキャリアに重要な情報が含まれている可能性があるため、転職先を決める際は必ずチェックしましょう。

給与に関する話をして相手の反応をチェックする

給料がいい職場を見極める際は、給与に関する話をして相手の反応をチェックすることが大切です。給与制度が整っている職場であれば、給与の評価制度や昇給の仕組みについて丁寧に説明してくれるでしょう。

たとえば、「介護福祉士で夜勤を月5回し、残業を10時間ほどすれば〇〇万円になる」といったように、具体的な給与額を教えてくれる職場は信頼できます。

一方、「給料の話は後ほど」「まずは入社してから考えましょう」など、あいまいな対応をする施設は要注意です。

面接時に給与の話はタブーに感じる方もいるでしょう。しかし、私たち働く側にとって、給与は最優先事項です。給与の話に対して丁寧に対応してくれる職場は、働く人を大切にしている可能性が高いと言えます。

shima
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私もエージェントを通じて希望年収を伝えた上で面接をし、面接当日に「〇〇さん(エージェントの担当者)から給与について話は聞いています」と言われ、採用になれば希望どおりの年収になると思いますという回答をいただけました。

介護職の給料に関するよくある質問

介護職の給料に関するよくある質問は、以下の3つ。

  • 介護職の給料は今後上がる?
  • 介護職の平均年収はいくら?
  • 介護職で手取り給料15万以下は辞めたほうがいい?

介護職の給料は今後上がる?

介護職の給料は、少しずつ上がる可能性が高いでしょう。厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査」からもわかるように、年々介護職の給料は増加傾向です。

参考年 平均給与(月給)
2016年 289,780円
2020年 315,850円
2024年 338,200円

今後も給料が上がることは間違いないでしょう。ただ、大きな増加は見込めないというのが私の予想です。理由は職場によって格差があるから。

今よりも確実に給料上げたいなら「転職」してください。これは耳にタコができても言い続けます。私の年収が200万円台から300万円台になったのも、300万円台が400万円台になったのも、大台の500万円台を超えたのも、ほかの介護施設へ転職したからです。

もう一度言います!今よりも確実に給料上げたいなら「転職」してください。

介護職の平均年収はいくら?

介護職の平均年収は、約350万円~400万円くらいです。厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職の平均年収は【4,058,400円】です。

ただし、働く施設の種類や地域、経験年数によって大きく異なります。たとえば、無資格未経験であれば、年収は300万円以下になる可能性もあります。

私も無資格未経験の頃は、年収200万円台でした。パートや派遣の場合も、年収は低い傾向です。

介護職として年収を上げたいなら「介護福祉士」や「介護支援専門員(ケアマネジャー)」などの資格を取得したり、待遇のいい職場に転職したりしましょう。

介護職で手取り給料15万以下は辞めたほうがいい?

介護職で手取り給料が15万円以下なら、即辞めたほうがいいです。理由は、私の経験をもとにお答えします。

私は2008年に、未経験から介護職を始めました。当時は資格もありませんでしたが、月に4回の夜勤で手取りは22万円ほどでした。夜勤をする前でも、手取り18万円ほど。

私の経験からすると、手取り15万円以下はあり得ません。会社に搾取されているとしか言えません。ただ、毎月の手取りは15万でも、賞与が年150万以上で年収400万になるなら問題ありませんが、そういった施設はほぼないでしょう。

shima
shima
手取り15万以下ならすぐに転職活動を開始し、今の職場から離れる準備を始めてください。

まとめ

まとめ今回は、介護職の給料が安い理由と、手取り30万円を目指すための具体的なステップを紹介しました。

介護職の給料を上げる方法はいたってシンプルです。資格を取得し、経験を積み、戦略的に転職すること。その上で、給料の良い施設を見極める方法や、業界の給料事情について理解することが大切です。

本記事の内容を実践すれば、間違いなく給料は上がります。難しいことはありません。ただやるだけです。ぜひ実践しただき、経済的に余裕のある介護職ライフを過ごしましょう。

このメディアでは、実際に介護職として働いた経験をもとに、リアルな情報を発信しています。給料アップを目指す方や、介護業界でキャリアアップしたい方にとって、有益な情報をお届けすることが私の使命だと思っています。

今後も、介護職のリアルな経験や業界の現状などを発信し、読者の皆さんのキャリアをサポートしていくので、ぜひチェックしてください。

なお、私が運営するYouTubeチャンネル「かいご職TV」でも、介護職に役立つ情報を発信しているので、あわせてご覧いただけると幸いです。

執筆者・監修者のshima(津島武志)について

ABOUT ME
shima(津島武志)
介護業界16年目の現役介護福祉士です。日本福祉大学出身で、主な保有資格は介護福祉士や介護支援専門員、社会福祉士など。これまでに6回の転職を経験し、さまざまな介護施設を渡り歩く。その間に管理職や採用担当、転職サポーターなどの業務を担ってきた。当ブログでは、介護職や転職経験を通じて感じたことや、過去の自分が悩んでいたことを読者の皆様に役立つ形で発信しています。介護職としての働き方に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。