- 初任者研修と実務者研修って何が違うの?
- どちらを先に取るべき?
介護福祉士を目指すか目指さないかで判断する
まず初任者研修と実務者研修どちらを取るべき?という問いに対しては、介護職唯一の国家資格である「介護福祉士」を目指すか目指さないかで判断すればOKです。
なぜなら介護福祉士の国家試験を受験するには、実務者研修の取得が必須だから。介護福祉士の取得を考えていない場合は、初任者研修のみを取得し、介護福祉士を目指しているのであれば、最初から実務者研修を取得しましょう。
出典:介護福祉士国家試験 受験資格|公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
ただ初任者研修は介護の基本のみを学ぶのに対して、実務者研修はより実践的で応用の効いた内容になっているため、初心者には負担になるかもしれません。
「まずは介護の基本からゆっくり学びたい」という方は、初任者研修から取得するという選択もありです。
次の項では初任者研修と実務者研修の違いも解説するので、自分が取得する順番を決める際の参考にしてみてください。
初任者研修と実務者研修の違いとは?
初任者研修と実務者研修の違いは、以下のとおりです。
項目 | 初任者研修 | 実務者研修 |
目的 | 介護の基本を学ぶ | 介護福祉士に必要なスキルや知識を学ぶ |
費用 | 5〜15万円 | 10〜20万円 |
科目数 | 9科目 | 20科目 |
所要時間 | 130時間 | 450時間 |
修了試験の有無 | 有り | スクールによって異なる |
医療的ケアの研修の有無 | 無し | 有り |
サービス提供責任者の可否 | 不可 | 可能 |
介護福祉士受験資格の有無 | 無し | 有り |
それぞれさらに詳しい内容を見ていきましょう。
ちなみに、初任者研修と実務者研修を取得すると、どれくらいの手当がもらえるのかについては、以下の記事を参考にしてください。
初任者研修とは?
介護職員初任者研修は、介護の基礎が学べるので、これから介護を始めたい方におすすめの資格です。
介護の知識と学ぶ講義と、介護技術を実践する実技演習で構成されています。全9科目130時間のカリキュラムで、最短1ヶ月で取得可能です。働きながら受講する場合は、2〜3ヶ月程度かかります。
受講を検討している方は「介護職員初任者研修 〇〇(住んでいる地域名)」で検索すれば、近くのスクールを探せます。以下のサイトから無料で資料請求もできます。
無料で受講する方法もあるので、よくある質問の「無料で取得する方法はありますか?」を参考にしてください。
実務者研修とは?
実務者研修は、初任者研修よりもさらに専門的な介護が学べる研修です。介護福祉士の受験資格にもなっているため、介護福祉士に必要な知識やスキルが学べます。
カリキュラムは全20科目で450時間と、初任者研修の3倍以上のボリュームです。初任者研修よりも取得するまでに時間がかかり、働きながらだとおよそ6ヶ月程度かかります。
先述のとおり、将来介護福祉士の資格取得を目指しているのであれば、実務者研修を取得しましょう。
初任者研修と実務者研修に共通点はある?
初任者研修と実務者研修の共通点は、以下の3つです。
- 介護の基礎知識を学べる
- カリキュラムの内容が一部共通している
- どちらも国家資格ではない
詳しい内容を見ていきましょう。
介護の基礎知識を学べる
初任者研修と実務者研修ともに、介護の基礎知識を学べるという共通点があります。ただ初任者研修は介護の基礎的部分に特化しているのに対し、実務者研修は介護福祉士国家試験の受験要件になっているため、より専門的な知識やスキルを学べます。
どちらも介護の知識やスキルを学ぶという意味では同じなので、何か介護の資格を取りたいと思ったら、初任者研修と実務者研修のどちらかを取得すればOKです。
カリキュラムの内容が一部共通している
初任者研修と実務者研修は、以下9つの科目が共通しています。
- 人間の尊厳と自立
- 社会の理解
- 介護の基本
- 生活支援技術
- 生活支援技術
- 認知症の理解
- 障害の理解
- こころとからだのしくみ
- 介護課程
上記9つの科目は初任者研修のカリキュラムのため、初任者研修取得者が実務者研修を受講する際は、これらの科目およそ130時間分が免除されます。
そのため、初任者研修取得→現場で経験を積む→実務者研修という流れで学んでいくと、スムーズに資格取得できるでしょう。
どちらも国家資格ではない
初任者研修と実務者研修はともに国家資格ではなく、それぞれ以下のような目的のために定められた民間資格です。
初任者研修:介護に携わる者が、業務を遂行する上で最低限の知識・技術とそれを実践する際の考え方のプロセスを身につけ、基本的な介護業務を行うことができるようにする
実務者研修:幅広い利用者に対する基本的な介護提供能力の修得(※介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)における到達目標と同等の水準)今後の制度改正や新たな課題・技術・知見を自ら把握できる能力の獲得を期待する
どちらも国家資格ではないものの、介護の現場ではしっかりと評価される資格なので、自信を持って研修を受講してください。
初任者研修がおすすめな人
初任者研修がおすすめな人は、以下のとおりです。
- とにかく早く介護の資格が欲しい人
- 介護を段階的に学びたい人
詳しい内容を見ていきましょう。
とにかく早く介護の資格が欲しい人
初任者研修は最短1ヶ月程度で資格を取れるため、とにかく早く介護職の資格が欲しい人におすすめです。
実務者研修も同じ内容を学べますが、働きながらだと資格取得までに半年ほどかかります。
「介護の基礎を早く学びたい」「無資格の状態を脱したい」という人は、初任者研修から取得しましょう。
介護を段階的に学びたい人
初任者研修は、介護の知識や経験がまったくない人にとってわかりやすい内容になっているため、介護を段階的に学んでいきたい人に向いている資格です。
介護の仕事を始めようか悩んでいる人であれば、まず初任者研修を受講することで、自分に介護職が向いているか確認できます。
まずは介護の基礎を学び、その後の方向性を考えたいという人は、まず初任者研修を受講しましょう。
実務者研修がおすすめな人
以下のような人に、実務者研修がおすすめです。
- 介護福祉士を目指している人
- サービス提供責任者になりたい人
それぞれ解説します。
介護福祉士を目指している人
実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験要件になっているため、介護福祉士を目指す人は実務者研修の受講は必須です。
もし介護福祉士を目指して実務者研修を受講する場合は、できるだけ早めに受講完了することをおすすめします。国家試験前の1年間は介護福祉士の試験勉強に集中したいところです。
試験勉強と実務者研修の時期が被ると、学習負担が増えるため、可能であれば国家試験の1年前までに実務者研修を受講しておきましょう。
サービス提供責任者になりたい人
サービス提供責任者とは、訪問介護における以下の業務を担う者で、実務者研修の資格が必要や職種です。
- 訪問介護計画の作成
- 利用申込みの調整
- 利用者の状態変化、サービスへの意向の定期的な把握
- 居宅介護支援事業者との連携(サービス担当者会議出席等)
- 訪問介護員に対しての具体的援助方法の指示及び情報伝達
- 訪問介護員の業務の実施状況の把握
- 訪問介護員の業務管理
- 訪問介護員に対する研修、技術指導等
参考:訪問介護におけるサービス提供責任者について|厚生労働省
「訪問介護で働きたい」「サービス提供責任者になりたい」という人は、実務者研修の資格を取得しておきましょう。
初任者研修に関するよくある質問
初任者研修に関するよくある質問は、以下の2つです。
- 働きながら取得できますか?
- 無料で取得する方法はありますか?
それぞれわかりやすく回答します。
働きながら取得できますか?
はい、働きながら取得できます。多くの介護職の方は、働きながら初任者研修を受講しています。
働きながら資格を取得する際は、週1〜2回コースを選択して、職場に資格取得したいので休みを合わせてほしいと伝えればOKです。
会社としても職員が資格を取得してスキルアップしてくれるは大歓迎なので、快く応じてくれますよ。遠慮せず相談して、気持ちよく研修を受講しましょう。
無料で取得する方法はありますか?
無料で取得する方法は、以下の3つです。
- 職場の資格取得支援制度を利用する
- 自治体の資格取得支援を利用する
- ハローワークの職業訓練を利用する
多くの職場では、福利厚生に「資格取得支援」があります。資格取得にかかる費用を、会社が負担してくれるという内容です。ただ、資格取得後1年間は辞めないことみたいな条件付きではありますが。
各自治体が実施している資格取得支援もあります。東京都の場合だと「介護職員資格取得支援事業」が該当します。こちらは、すでに介護職として働いている方や内定をもらっている方は対象外です。詳しくは、以下の案内ポスターをご覧ください。
あとは、ハローワークが実施している「ハロートレーニング(職業訓練制度)」を利用する方法もあります。詳しい内容は、厚生労働省のホームページをチェックしてみてください。
実務者研修に関するよくある質問
実務者研修に関するよくある質問は、以下の2つです。
- 修了試験に落ちたら資格はもらえませんか?
- 研修内容は難しいですか?
それぞれ回答するので、参考にしてください。
修了試験に落ちたら資格はもらえませんか?
大丈夫です。試験に落ちても再試験を受けられます。修了試験といっても研修内容を復習みたいなものなので簡単です。
あと受講スクールや講師の方によって異なりますが、なかには修了試験の内容を事前に教えてくれる場合もあります。基本は受講生全員合格できるようになっているので、資格がもらえないことはありません。無問題です。
研修内容は難しいですか?
実務者研修も介護の基礎を学ぶ内容ではあるものの、初任者研修に比べると学習範囲も広くより実践的な内容なので難しく感じる方もいるかもしれません。
科目ごとに課題があり理解度を確認しながら研修を進めていくので、疑問点は科目ごとに解決しておくことが大事です。わからないまま学習が進むと、修了試験に苦労する可能性があります。
「カリキュラムを集中して聞く→課題に忠実に取り組む」当たり前のことですが、この2点を押さえておけば、問題なく学習を進められます。
まとめ
今回は初任者研修と実務者研修の違いや、先に取得するべき資格などについて解説しました。
介護福祉士を目指すのであれば、迷わず実務者研修から取得しましょう。初任者研修は不要です。介護福祉士を目指す予定はなく、介護の基本的スキルや必要最低限の資格だけ欲しい場合は、初任者研修だけ取得しておけばいいでしょう。
本記事が、あなたが資格取得を考える際の参考になれば幸いです。