- 「介護職から他の業種に転職したいけどできるのか不安…」
- 「介護職の経験は強みになるの?」
- 「転職しにくくないかな?」
今回は、以上のような不安や疑問にお答えしていきます。
私自身、介護職から別の業種に転職経験はありませんが、介護職をしながら他業種で副業をした経験があります。そこで本記事では、その際に採用担当者に伝えた介護職の強みや、評価してもらえた点などを紹介していきます。
また強みだけでなく、介護職であることが弱みと評価され、転職しにくい要因となる部分にも目を向けることが大切です。弱みを理解した上で、自分の強みを伝えることでスムーズな転職につながるので、ぜひ参考にしてみてください。
介護職から他業種へ転職する際の5つの強み
介護職を経験したからこその強みがあります。それが以下の5つです。
- 1.コミュニケーション能力
- 2.思いやりや気遣い
- 3.こまかい変化に気づく観察力
- 4.粘り強い忍耐力と継続力
- 5.チームをまとめるマネジメント力
転職する際は、自分自身の強みをアピールすることが大切なので、あらためて介護職で経験して培った強みを理解しましょう。
1.コミュニケーション能力
介護職は対人サービスで、同じ高齢者でもさまざまな正確な病気の方々とコミュニケーションを取ります。そのため、状況に応じたコミュニケーション能力が身に付きます。
また利用者だけでなく、家族や他の職員とのコミュニケーションもあるため、適度な距離感や接し方も経験から学べます。
コミュニケーション能力は、どのような仕事をするにしても重要視される部分であり、非常に大きな強みとなるでしょう。
ちなみに、私は介護職をしながらフィットネストレーナーをしていた時期があり、その際に介護職で養ったコミュニケーション能力が活きたのではと感じました(笑顔でやわらかく話す感じが、お客様に好印象でした)
2.思いやりや気遣い
介護職は、サービスの対象者である利用者との距離が0センチと言われるほど、非常に距離が近い対人援助サービスです。
そのため、良好な信頼関係を築くためにも相手への思いやりや気遣いが不可欠です。
介護職で培った思いやりや気遣いの精神は他業種に転職しても、仲間や顧客などかかわる人に良い影響を与え、会社の雰囲気をプラスに変えられる効果も期待できるでしょう。
3.こまかい変化に気づく観察力
介護職は以下のようなことを読み取りながら、こまかい変化に気づく観察力が養われます。
- 表情やしぐさ
- 声のトーンやボリューム
- 姿勢や歩き方
とくに認知症のある利用者の場合、自分から異常を伝えることができません。だからこそ、介護職側がこまかい変化に気づくことが大切です。
転職先でも、同僚がちょっと元気がない時に声をかけたり、顧客の潜在ニーズにいち早く気づくなど観察力が活かされるでしょう。
4.粘り強い忍耐力と継続力
介護職は感情労働と言われ、ほかの業種以上に自分の感情をコントロールする力が必要とされる仕事です。そのため、感情を抑えながらストレスと向き合う忍耐力が身に付きます。
また利用者へのケアの効果はすぐには出ません。毎日コツコツ、統一されたケアを繰り返すことで徐々に効果が出てきます。
介護職は、忍耐力とともに継続力も養えるため、他業種での仕事を続ける際にも大いに役立つでしょう。
5.チームをまとめるマネジメント力
介護リーダーや管理職などを経験すると、チームをまとめマネジメント力が身に付きます。マネジメントスキルは、どの会社で働くにしても必要とされるスキルです。
組織をまとめるという経験をしていれば、転職先の職種が未経験でも、マネジメント経験を評価され好条件で転職できる可能性もあります。
介護業界は比較的昇進しやすいため、将来的に介護以外の仕事をしようか考えている人は、積極的に役職経験を積むといいでしょう。
なぜ介護職から他業種へ転職するのか?
主に以下のような理由で、介護職から異業種へ転職する人が多くなっています。
- 給料が上がらない
- 体力的に不安
- 休日が少ない
- 人間関係の悪化
自分自身の健康状態や、求める待遇などによって理由は異なるでしょう。自分が何を優先に働いているかを考えるきっかけにしてみてください。
給料が上がらない
介護業界は全産業と比べても、給料が低い傾向です。さらに、長く働いても給料が上がりにくいというイマイチな特徴もあわせ持っています。
大手の企業であれば、管理職ともなれば1,000万近くを目指せることを考えると、給料が理由で転職したいのも納得ですね。
あらに介護業界の給料は、国からの補助的な側面を持つ介護報酬に依存しています。そのため、介護職の給料を大幅に上げることがそもそも不可能であるという現状もあるでしょう。
体力的に不安
介護職は早番や遅番、夜勤とさまざまな時間で働き不規則な勤務形態です。とくに夜勤は17時間勤務と長時間であり、かなりの体力が必要です。
利用者をか抱えたり、排泄や入浴介助など、肉体労働であることも体力面で不安を感じる要因でしょう。
また不規則であることから体調を崩しやすいため、年齢を重ねるとキツくなってきます。
今後も介護職を続けるとなると体力的にキツいと判断し、早めに他業種に転職する人もいます。
体力あるから大丈夫と過信するのではなく、若い人でもこのまま続けるのはしんどいと感じているなら、思い切って他の業種を経験してみるのもいいでしょう。介護職であれば、また戻ってくることもできますからね。
休日が少ない
介護職の休日は、一般企業に比べと少なめです。以下、介護職と一般企業の会社員との年間休日の違いです。
- 介護職:年間休日105日〜110日ほど(シフト制)
- 一般企業の会社員:年間休日120日以上(土日祝休み)
さらに介護職で、老人ホームのような生活型の施設で働く場合は、24時間365日利用者の対応が必要なため、連休や有休も取りにくいでしょう。
周囲に気を遣いながら連休や有休を取る日々は、ストレス溜まりますよ(愚痴ってすみません)
人間関係の悪化
自分が働く業界のマイナスな面を伝えるのはどうかと思いますが、介護業界は人間的に「あれ?この人大丈夫かな?」って人が多い傾向です。なぜなら、資格や経験がなくても誰でも始めやすいため、人を選ばない業界だからだと思います。
この理由に関しては、私が17年間経験してきた中で感じたことなので、断言することは控えます。しかし、介護職の離職理由には、給料とともに人間関係が多数を占めています。(どちらも全体の20〜25%ほど)
先ほどもお伝えしたように、介護は感情労働でストレスが溜まりやすい仕事のため、イライラの矛先が他人に向いてしまうこともあるのでしょう。
人間関係の悪化を我慢するのは、間違いなく心身の健康の悪影響です。どうしてもかかわるのが無理だなと感じる人がいる場合は、その職場から離れることをおすすめします。一度心身を崩してしまうと、日常生活にも影響するかもしれないことを心に留めておきましょう。
介護職から異業種へ転職しにくい理由とは?
介護職は転職時に強みを活かせる一方で、異業種へ転職しにくい理由もいくつか考えられます。それが、以下の3つです。
- 介護のスキルは他業種に活かしにくい
- 誰でもできる仕事というイメージが根強い
- 年齢的に厳しい場合がある
転職時に自分の強みを伝えるためにも、このような弱みを理解しておくことが大切です。
介護のスキルは他業種に活かしにくい
介護は専門職であるため、他の職種に活かしにくい点が、異業種へ転職しにくい理由のひとつです。
たとえば、以下のようなことは介護現場以外で応用できません。
- 排泄や入浴、移乗などの身体介助
- 認知症ケアの専門スキル
- 介護保険に関する基礎知識
一方で以下のようなスキルは、どのような職種でも活かしやすいでしょう。
- パソコンスキル(Word、Excel、PowerPointなど)
- マネジメントスキル(リーダーや管理職など)
- コミュニケーション能力
介護に関する専門スキルはもちろん大切ですが、同時にパソコンスキルやマネジメントスキルを意識的に身につけておくことで、介護職から異業種への転職に役立つでしょう。
誰でもできる仕事というイメージが根強い
介護職をしている身として否定したいのは山々ですが、介護職は誰でもできると思われています。なぜなら、資格がなく未経験からでも採用されやすいからです。
またメディアが報じる介護職のイメージは、いわゆる3K(キツい、汚い、危険)であったり、低賃金で誰でもできるといったことが挙げられます。
国家資格である介護福祉士は業務独占資格ではなく、資格がなくても介護職として働ける点も低くみられている理由のひとつでしょう。
ここでハッキリさせておきたいのは、「介護職は誰でもできる仕事じゃない」ということです。たしかに無資格未経験で始めやすいですが、認知症対応の専門的知識や基本的な身体介助での高度な技術などが求められます。誰でもできるというは、あくまでイメージでしかありません。
年齢的に厳しい場合がある
講師労働省のデータによると、介護職の平均年齢は以下のとおりです。
20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代以上 | |
介護職員(施設) | 19.0% | 24.0% | 22.4% | 19.7% | 12.6% |
訪問介護員 | 4.4% | 11.5% | 22.9% | 27.5% | 31.6% |
全体を見ても、40代以降が半数以上を占めています。また、訪問介護の場合は60代以上が30%を超えるという結果が出ています。
介護職から異業種への転職は、若いほうが有利なのは確かです。介護以外の仕事も経験したいと思っている方は、遅くても30代までには転職するといいでしょう。
介護職から異業種へ転職する際の3つのポイント
介護職から異業種へ転職する際の3つのポイントは、以下のとおりです。
- ネガティブな理由は言わない
- 20代なら若さをアピールする
- 30代以降は実績を具体的に伝える
ここでは面接時に「どのように自己PRすると良いのか?」というニーズに対して、お答えしていきます。
では、それぞれ詳しく解説していきます。
ネガティブな理由は言わない
「なぜ転職しようと思ったのか?」という質問に対しては、ネガティブな理由は避けましょう。たとえば、介護職の賃金が低いからとか、嫌な上司がいたからとかですね。
面接官も「本当はマイナスな理由で転職したんだろうなぁ」というのは、履歴書を見たり話を聞いたりしているとわかるものです。
でもそこはグッと堪えて、退職理由ではなく、以下のような前向きな転職理由がいいでしょう。
- その業界でスキルアップしたい
- 介護職の経験を他の業種でも活かしてみたい
- 業界の発展に貢献したい(社会貢献)
また「なぜその業界に転職したいのか」 「転職してどういったことをしたいのか」など、あなたを採用することで得られる企業側にメリットも伝えられるとなお良しです。
20代なら若さをアピールする
20代の介護職の方は、若さという今しかない武器があるので、思う存分活用したほうがいいでしょう。20代であれば、未経験の業界でも将来性を見込んで採用されやすくなります。
もちろん若さだけで採用されるわけではないので、介護職で学んだ強みをしっかり伝えることが大切です。
また、若さ=元気がありフレッシュなイメージのため、自信を持ってハキハキと質問に答えることで好印象を与えられます。明るさや元気さが、若さをより際立たせてくれるでしょう。
30代以降は実績を具体的に伝える
30代以降は具体的な実績がない場合、他業種への転職は難しいでしょう。だからこそ、30代以降で介護職から異業種への転職を考えている人は、具体的な実績を積んでおくことが重要です。
たとえば介護職のうちに積める実績は、以下のようなことがあります。
- リーダー職を経験し10名の部下をマネジメント
- 管理職として施設の運営を担う(年間利益を◯%アップさせた)
- 新人教育責任者として離職率を◯%低下させた
具体的な数字が入っていると、より伝わりやすくなります。
介護職以外にも、自ら資格を取得したり、大学に通い直して新たな知見を広げたりといったことも、アピールポイントです。
年齢はあくまで、ひとつの判断材料であることも知っておくと、前向きな転職につながるでしょう。
まとめ
今回は、介護職から他業種に転職したい人に対して、介護職経験の強みや弱み、異業種転職する際のポイントなどを解説しました。
現場の介護職はツラいけど、異業種への転職に不安がある人は、同じ介護業界でも体力的に負担の軽い、管理職や相談員などへのキャリアチェンジも可能です。資格を取ってケアマネジャーという選択肢もあります。
現場の介護職経験があれば、転職時に管理職や経営部門などの課長・部長クラスへのステップアップも十分狙えるでしょう。
実際に私自身も、現場の介護職経験のみで、管理職として採用されました。さらに、面接時に経営部門での採用を誘われた経験もあります。その際にサポートしてくれたエージェントは、以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
エージェントの利用は料金は一切かかりません。無料ですのでご安心ください。